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木のうたがきこえる

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出版社を営むかたわら、果樹を育てる生活をはじめて2年が経ちました。「本をつくること」と「木を育てること」——これら二つのしごとはどのように関係しあっているのだろう。自分の体感と経験を掘り下げるためにこのZINEをつくりました。吉野の山でつづった4つのエッセイと2つの物語が収録されています。

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“出版社を立ち上げた頃から、自分の中につよい欠落感が生じました。それは、言葉に対する自分の感覚の耐えがたい浅さのようなものでした。自分は誰かの書いた大切な言葉に誠実に向き合うことができるだろうか。言葉の奥にある切実な想いに、まっすぐに応えることはできるだろうか。そうするには、あまりにもとぼしい経験とまずしい感覚しか持ち合わせていないのではないか。都市の内側で同質の人たちに囲まれながら、出来合いの知識を我が物顔でしゃべったり、それらしい言葉を舌先で転がしている場合ではないんじゃないか。境界線を飛びこえ、自分の身体ごと世界と出会い直し、「言葉以前の感覚」を育まなければ、言葉を生業にし、ほんとうに良い本を作ることなんてできないんじゃないか……。そんな想いが自分の内に芽を出したのでした。”(「風の手紙」より)

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“木を育てる生活の中で学んだ最も大切なことは、なにごとにも時間がかかるという、しごくあたりまえのことでした。種をまいて芽が出て、木に育ち実がなるまでには、少なくとも五年や十年の時間がかかります。そして百年や千年の時間をかけて、木はその土地に根を張り、鳥や虫や人々のよりどころになります。…それからというもの、人と比べて焦ったり、目的地へ急ぐことが少なくなりました。それよりも、自分の選んだ道をしっかりと歩いて行くことの方がどれだけ大切かということを、身体で理解したからです。”(「風の手紙」より)

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《目次》
・風の手紙
・木の声を聴く
・自分の内に辞書を編む
・翼のある木
・未知のものとのダンス
・むすんで、ひらいて

《書誌情報》
A5変形サイズ(H148×W91mm)/44ページ/スクラム製本
1,000円+税

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